カルト幹部体験記 第44話 顕正会を一刻も早く抜けろ!
- Shannon N. Smith
- 2018年5月4日
- 読了時間: 2分

(第1話はこちら)
成仏の相。
人が死してのち、成仏しているかどうかは、死相を見ればわかる。成仏した人の遺体には、死後硬直が起こらず、唇には赤みが差し、目と口は半開きで柔和な表情になる。特に死後硬直が一切起こらないという点に関しては、明らかに、通常ではあり得ない。
これがあったからこそ、わたしは顕正会が正しいと信じられた。
しかし、同現象が日蓮正宗でもある、と先日H氏は言い、Y部長も今そう言っている。さらには、映像まであるとのことだ。
「では、見てみましょう」。Y部長はビデオをセットし終わると、そう言った。
短い映像だった。
死後硬直しているかどうかは、映像だから確認できないが、確かに、見た目は今まで聞いてきた成仏の相そのものだった。
Y部長はさらに個人的体験や、同じ妙観講員の体験を語る。
嘘をついている人間の目でないのは、見れば大体わかる。
長年顕正会の幹部をやってきたことなどによって、あらゆる人間の心の奥底を覗いてきたわたしは、人の本心をある程度、見抜けるようになっていた。勘違いすることも多々あるにはあるが。
Y部長も、H氏も、本気だ。
「では、顕正会でも成仏の相が現ずるのはなぜでしょう?」わたしは、これが最後の反論になるかもしれない、と思いながら言う。
「あっ、そういったことはあります」。Y部長はあっさりしていた。「まあ、簡単に言うと、臨終の相と言っても、いろいろなものがありまして、日蓮正宗以外でも一見成仏の相とも見て取れる相で亡くなる人たちもいるにはいます」
Y部長は続いて、臨終の相について詳しく説明してくれた。
早い話が、顕正会で言うほど臨終の相は単純ではなく、様々なものがあり、現在、本当に日蓮大聖人の言われた通りの成仏の相は日蓮正宗でしか現じないと、確信をもって柔らかく、語ってくれた。
ちょうど説明を聞き終わるかどうかというタイミングで、地震を思わせるような揺れがきた。
しかし、Y部長もH氏も、気づいていないようだ。
それはそうだ、揺れていたのはわたしの心臓だった。かつて覚せい剤をやっていたころのように、激しく脈打っている。
すると頭の中に、声が流れた。
『顕正会を一刻も早く抜けろ!』
(第45話へと続く)
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当ストーリーはファウンダーであるShannonが実際に体験したノンフィクションです。そのため人名等は伏せています。記憶を頼りに書いていますので、万が一記憶違いなどがあった場合、すみやかに訂正します。Shannonは特定の宗教やカルトに現在属していませんし、信仰を勧めているわけでもありません。彼の体験をそのまま語ることが誰かの役に立てば、との思いで書いています。
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