カルト幹部体験記 第40話 H氏との出会い
- Shannon N. Smith
- 2018年4月5日
- 読了時間: 3分

(第1話はこちら)
2004年1月22日。わたしは支隊長になった。
当時の顕正会の会員数は100万人ほど。
その中で、現役支隊長以上の幹部は1000名ほどであったと思われる。
わたしの支隊は、副長1名、班長4名、組長数十名。それに役職なしを足すと、合計1000名ほどだった。
もちろん1000名全員が活動家というわけではなく、実際に一時期でも半年以上活動したものは、100名にも満たないと思われる。
会合にほぼ欠かさず来ていたのは、わずか20名くらいだった。
わたしは、今までよりもさらにいっそう本気で御本尊様に祈り、活動をした。
疑念など沸く暇は、まったくなかった。頭の中は常に誓願をいかに達成するか、だけだった。一●隊の支隊長職の大変さは、副長職が遊びだったのではないかと思えるほどだった。
そんな2004年4月のある日、ときわ台駅前ロータリーのガードレールに腰かけて顕正新聞を読むわたしに、ある人物が声をかけてきた。
「あっ、すみません。顕正会の方ですか?」
新聞から顔を上げると、人の好さそうな、でも、どこか親しみやすい雰囲気の漂う男が、満面の笑みでわたしの顔を覗き込む。
「はい。そうですが」。わたしは笑顔を返した。
「初めまして、Hと申します。実はわたし元顕正会員でして、少しお話するお時間はありますか?」
「ほう。元顕正会員なんですか。どこの隊だったんですか?」
「●隊です。班長をやっていました」
「おお、斎●隊長が昔いたところですか!」
斎●隊長とは、ある意味伝説の隊長だった。暴走族やギャングなどの不良あがりが多かった、神奈川を中心に活動する第●隊の元隊長兼男子部副部長で、彼がいたころは顕正会全体で最も折伏(勧誘)成果をあげていた組織である。指導は独特で、わたしはよく、斎●隊長の指導テープを隊は違えど繰り返し聞いていた。
しかし、ある時を境にぱっと姿を見なくなり、一部の人は、『処分された』との見解を持っていた。
余談ではあるが、顕正会において大幹部が突然いなくなることは、珍しいことではなかった。こういったことの点がつながったのは、大分後になってからだった。
「はい。もしよろしかったら、お話だけでも。あちらの公園ででも、いかがですか?」
「あっ、でも元っていうことは、今はどこなんですか?」
「日蓮正宗です」
私は思わず唾をのんだ。
(第41話へと続く)
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当ストーリーはファウンダーであるShannonが実際に体験したノンフィクションです。そのため人名等は伏せています。記憶を頼りに書いていますので、万が一記憶違いなどがあった場合、すみやかに訂正します。Shannonは特定の宗教やカルトに現在属していませんし、信仰を勧めているわけでもありません。彼の体験をそのまま語ることが誰かの役に立てば、との思いで書いています。
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