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カルト幹部体験記 第39話 認知的不協和

  • 執筆者の写真: Shannon N. Smith
    Shannon N. Smith
  • 2018年4月1日
  • 読了時間: 2分

(第1話はこちら

 状況証拠的に先生は、ほぼ間違いなく御本尊を偽造していることを先日、知った。

 具体的には、次々と全国に建ち続ける新しい会館にかけられている日布上人の大幅御形木御本尊と、おそらく、自宅拠点にかけられている日寛上人の小幅御形木御本尊の一部は、顕正会で作成していると思われる。

 確かに、会館や自宅拠点で見る両本尊は、とても長年貯蔵されてきたものとは思えないほどに白く、真新しい。

 それでもわたしは、無理やり活動をつづけた。

 気づけば、わたしの中には、二つの相反するものが、同居していた。

 顕正会は正しいと信じたい、気持ち。

顕正会は間違っているのでは、という気持ち。

 認知的不協和である。

 顕正会での活動を始めて以来、わたしは幾度となく、御本尊の力を体感してきた。

 わずか二週間で消えた、薬物の後遺症や過敏性腸症候群。また、数えきれないほどの、奇跡としか呼べないような体験を直接・関節に、たくさん目にしてきた。

 誓願(勧誘ノルマ)達成が危ぶまれるとき、必死に御本尊に祈ると、ばったりと知り合いに会い、そのまま入信に至ったような例も枚挙にいとまがない。

 一方、本当に正しい団体であれば、必ず日蓮大聖人に守られる。それは御本尊という側面においてもそうであるはずだ。

 正しい団体が御本尊を偽造したりする必要性に追い込まれたり、それについて嘘をついたりするはずはない。

 何かがおかしい。

 しかし、不思議なもので、無理やり活動を続けていると、少しずつ、疑念が薄まっていった。

 それはそうである。周りに常にいるのは、顕正会を本気で正しいと信じている人たちばかりだ。そして折伏(勧誘)に行けば、内に疑念を持っていたとしても、わたしはいつもと変りなく、顕正会の正しさを人に説いた。

 いつしかわたしは、また前のように、精力的に活動をするようになっていき、組織も伸び始めた。

 間もなく、SD支隊長は隊長になり、その後、2004年1月、わたしはついに支隊長に抜擢された。

第40話へと続く)

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当ストーリーはファウンダーであるShannonが実際に体験したノンフィクションです。そのため人名等は伏せています。記憶を頼りに書いていますので、万が一記憶違いなどがあった場合、すみやかに訂正します。Shannonは特定の宗教やカルトに現在属していませんし、信仰を勧めているわけでもありません。彼の体験をそのまま語ることが誰かの役に立てば、との思いで書いています。

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© 2017 by Shannon N. Smith.

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