カルト幹部体験記 第38話 動執生疑
- Shannon N. Smith
- 2018年3月23日
- 読了時間: 3分

(第1話はこちら)
『顕正会からの脱出』を初めて通しで読んで以来、わたしの顕正会に対する確信は、揺らいでいた。
が、わたしは支隊副長である。確信が揺らいでいると言っている暇はなく、月々日々、誓願(勧誘ノルマ)に追われていた。
誰にも相談できないでいた。
それはそうだ。仏滅年代などについては聞けても、先生の言っていることがコロコロ変わっている、なんて言えない。
何かの間違いではないか。そう期待して、何度もホームページを閲覧した。
いや、やはり間違いではなそうだった。
疑心暗鬼を抱えながらも活動を続けては、『顕正会からの脱出』を繰り返し読むうちに、ある日、ホームページが一新された。
『富士大石寺へ帰ろう』
そこには『下野正信』が新たに書いたものが掲載されているのと同時に、掲示板などもあった。
わたしはむさぼるように、ホームページを読むと、一日で読み終わった。
『動執生疑』
わたしの心境を一言で表すとそうなる。
仏教用語で、執着が動じて疑いが生ずる、という意味である。
わたしは『顕正会からの脱出』を何度か読むうちに、先生の言っていることがコロコロ変わっていること自体は大したことではないと思えるような、もっと重大な疑念が頭の片隅に巣くうようになっていった。
その疑念が状況証拠的に事実であることを、今回『下野正信』はありとあらゆる角度から論証した。
御本尊の偽造。
これは、仏弟子であれば、絶対にやってはいけないことである。御本尊をあらわせるのは、日蓮大聖人から代々、唯授一人血脈相承の流れを汲む、富士大石寺の時の法主のみだ。
いかに先生が、日蓮大聖人の御遺命をただお一人守られたとしても、御本尊の偽造だけは絶対に許されない。成仏どころか堕地獄必須である。
日蓮大聖人の仏法を信じないものにとって、これがいかに重大なことかは、おそらく伝わらないだろうが、あえて例えを挙げてみる。
これを飲めば、健康になり、元気になり、毎日の仕事も集中力抜群で能力がガンガン上がるという触れ込みを信じて飲み続けたスポーツドリングが、実はただ単に覚せい剤入りドリンクだった。
はじめは、プラスと思えるような効果がたくさんあるが、何かがおかしい、と気づいたころには心身共にボロボロになっていて、やめられない状態になっている、とでも言おうか。
しかも、先生は、このことについて、嘘をついている。
状況証拠は文書として残っている。
先生は、顕正会で護持する御本尊はすべて、故松本日仁尊能化が、託してくださったと、説明している。ここは過去から現在に至るまで一貫している。
しかし、初めて先生が顕正会で護持している御本尊について説明をされたときから、年代を経るごとに、説明をするたびに、託されたという御本尊の数が増えていっているのだ。
わたしの中で、初めて、今まで固く蓋をしていたある思考が、ついに蓋を突き破って沸いてきた。
顕正会はまちがっているのでは?
(第39話へと続く)
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当ストーリーはファウンダーであるShannonが実際に体験したノンフィクションです。そのため人名等は伏せています。記憶を頼りに書いていますので、万が一記憶違いなどがあった場合、すみやかに訂正します。Shannonは特定の宗教やカルトに現在属していませんし、信仰を勧めているわけでもありません。彼の体験をそのまま語ることが誰かの役に立てば、との思いで書いています。
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