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カルト幹部体験記 第33話 仏滅年代について会長・浅井先生が言及

  • 執筆者の写真: Shannon N. Smith
    Shannon N. Smith
  • 2018年2月16日
  • 読了時間: 3分

(第1話はこちら

 H隊長は電話口でわたしに言った。男子部長に聞いてみたところ、現代の学者連中が言う仏滅年代は、邪宗にとって都合よくするために捻じ曲げられたものである、と。

 さらに、そんなことをシャノンは聞いてきているのか、と、不思議に思っているかのようなことも言っていたと、伝えてきた。

 もっとしっかりと根拠ある回答を期待していただけに、正直、落胆した。が、口では、なるほど、ありがとうございます、とH隊長に告げた。

 電話を切って思った。そんなので現代の定説を破折(論破)できるわけないだろう。

 わたしは顕正会そのもの、というよりも、この時は、そんなことをそのまま伝えてきたH隊長と、浅井男子部長に対して、疑念を抱いた。

 この疑念はそのままわたしの活動に影響を与え始め、伸びつつあった組織は、また少し停滞し始めた。

 そのまま時は過ぎ、夏合宿の時期がやってきた。

 わたしが活動していたころの顕正会では、夏合宿を執り行っていた。

 男子部、女子部、婦人部、壮年部と、各部ごとに期間を分け、地方のホテルに数千名で宿泊し、寝食を共にし、信仰心と連帯感を深めるのだ。

 その熱気たるや、恐るべきものだった。

 会長の浅井先生が指導の際に一言「しっかり頼む」と言うと、数千名の男子部が一斉に「はい!」と返事をする。

 この「しっかり頼む」「はい!」という場面は、合宿のみならず、班長会や後に参加した支隊長会などでもおなじみではあったのだが、いかんせん数千名の男子が地方の青空の下、大声で答えるのだ。まるで地雷のように鳴り響くその声に、おそらく地域住民は何事かと思っていたに違いない。

 今振り返ってみても、わたしの人生経験上、あそこまで気合の入った、統制の取れた、「はい!」という言葉は聞いたことがない。その一言で涙するものもいたほど、凄まじい情熱であった。一日も早く日本を救うのだ、と。

 この夏合宿の場で、なんと浅井先生が自ら仏滅年代について触れた。

 H隊長いわく、浅井男子部長から先生にわたしの質問があがり、それに答える形で合宿の講義中に触れたとのことだった。

 先生が一会員であるわたしの質問に直接お答えくださったという事実は、とてもうれしかった。

 が、その答えに納得したかというと、正直、疑問が残った。しかし、顕正会としてのスタンスは明らかに分かったので、わたしとしては、腹を決めるきっかけにはなった。

 先生によると、あくまで日蓮大聖人の用いている仏滅年代が正しいとのことだった。

まず、そもそも現代言われている仏滅年代はすべて仮説でしかない。すべて凡夫が考えたことでしかないと。

一方、日蓮大聖人が用いた仏滅年代は、釈尊滅後、弟子が一年一年、途切れずにずーっと数え続けたものを用いている。

どちらのほうが信頼をおけるかは一目瞭然であると。

浅井男子部長の答えよりは、納得できたが、これで破折するのは難しいな、と感じた。

でも、これが顕正会のスタンスなのであれば、信じてついていくしかない、と腹を固めた。

合宿後しばらくして、H隊長は壮年部に移ることになる。それと同時に、一●隊で毎月の折伏(勧誘)数が最も多かったS支隊長が隊長になった。

それに合わせて、わたしはKT支隊からS隊長直属支隊に移った。

S隊長のもと、はじめのうちは、毎月きちんと成果を上げ、組織も伸びていた。が、S隊長は次第に過激になっていき、わたしは段々とそのやり方に、ついていけなくなっていった。

第34話へと続く)

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当ストーリーはファウンダーであるShannonが実際に体験したノンフィクションです。そのため人名等は伏せています。記憶を頼りに書いていますので、万が一記憶違いなどがあった場合、すみやかに訂正します。Shannonは特定の宗教やカルトに現在属していませんし、信仰を勧めているわけでもありません。彼の体験をそのまま語ることが誰かの役に立てば、との思いで書いています。

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© 2017 by Shannon N. Smith.

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