top of page

カルト幹部体験記 第26話 初めての疑念

  • 執筆者の写真: Shannon N. Smith
    Shannon N. Smith
  • 2017年12月29日
  • 読了時間: 2分

(第1話はこちら

 2000年末。わたしはいつも通り大学の授業を受けていた。

 教科は、アジア文化。当日のテーマは仏教だった。

 先生がブッダの生誕年はいつか生徒に訊く。わたしは思う。『大体3000年前だから紀元前1000年ってことだよな』

 手を挙げようと思ったら、別の生徒が手を挙げて答えた。「諸説ありますが、紀元前500年くらいですよね」(実際のやり取りはすべて英語で行われたのだが、ここではすべて日本語で記載する)

「その通り!」先生は、正解してほしい質問を生徒が正解してくれた時の教師が見せるような表情をしている。

 わたしは、強烈な違和感を覚えた。『んっ、何言っているんだ、こいつら。釈尊(ブッダ)が生まれたのは紀元前1000年くらいだろう?』

 当時のわたしがそう思うのも無理はなかった。顕正会の教え、いや、その基になっている日蓮正宗の教えでは、釈尊が入滅(亡くなる)したのは紀元前949年であると定めている。

 それを前提として、その後の仏教史が語られ、正像末の三時と言って、正法千年、像法千年、末法万年と、釈尊の時代から離れれば離れるほど、人心は濁り、かつ、救うための教えが変化していくと説く。

 その仏教史を学べば、本当に釈尊の予言通りに歴史が動いてきたことに、だれもが驚嘆するだろう。

 日蓮大聖人が生まれた鎌倉時代は末法(仏滅後2000年以降)で、この時代を救える教えは南妙法蓮華経しかない。

 しかし、日蓮大聖人が生まれた時代が末法でなかったとしたら、詳しいことは省略するが、日蓮大聖人の教えそのものの根底が覆る可能性すらあるのである。

 その日わたしは、クラスで先生に質問をすることは、しなかった。というより、状況がうまく消化できなくて、できなかった、と言ったほうが適切かもしれない。

 その後も、何度か釈尊の生誕年や入滅年についてクラスで話題が上がると、わたしは段々と不安になっていった。哲学の授業でも、やはり、ブッダは紀元前400-500年前後の人として紹介される。

 わたしはいよいよ、気になり、インターネットで調べることにした。

 そこでわたしは衝撃を受けることになる。

第27話へと続く)

--------------------------------------------------

当ストーリーはファウンダーであるShannonが実際に体験したノンフィクションです。そのため人名等は伏せています。記憶を頼りに書いていますので、万が一記憶違いなどがあった場合、すみやかに訂正します。Shannonは特定の宗教やカルトに現在属していませんし、信仰を勧めているわけでもありません。彼の体験をそのまま語ることが誰かの役に立てば、との思いで書いています。

Commentaires


© 2017 by Shannon N. Smith.

bottom of page