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カルト幹部体験記 第17話 班長職拝命前夜

  • 執筆者の写真: Shannon N. Smith
    Shannon N. Smith
  • 2017年10月27日
  • 読了時間: 3分

 (第1話はこちら

1999年11月後半、午前0時近く。埼玉県朝霞市。

わたしとKは、Kの紹介で始めたアルバイト先の建物前にいる。

「いやあ、本当良かったよね! これでシャノンは今月7名の入信者を出したってことだよ」。Kは誇らしげな笑みをたたえて言う。

 この日は、本年度の折伏(勧誘)成果を締めくくる11月法戦の最終日にして、今年の目標である68万会員が達成するかどうか決定する日だった。わたしは一日で2名の入信者を出し、ご機嫌だ。

(※顕正会では1年間を一ヶ月~数ヶ月単位に区切って、その期間ごとに折伏の成果を集計している。この区切った期間を法戦と呼ぶ。例外として年初に「指導の月」と呼ばれる月があるが、基本的には年間を通して折伏の手を緩めることはない)

「間違いなく、68万は達成する」。Kは目を輝かせて続ける。「そして68万が達成するということは、平成14年(2002年)の100万達成も確実だ。シャノンはいま歴史的瞬間に立ち会っているんだよ」

「おお、なんかまだ実感わかないけど、すげーってのは伝わってくるよ」。わたしは言う。

 ほどなくKと別れ、帰宅した。

 自室のベッドに横たわると、あらゆる考えが頭を駆け巡った。

 わたしは9月に活動を始めて以来、17名の入信者を出した。その成果を買われ、11月の総幹部会で班長職を任命されることが確定していた。

「シャノン、来月から班長だよ。班長になるっていうことは今までの組長としての戦いとは大きく変わってくるから」とKは説明した。

 班長になると、総幹部会本番や班長会にも参加できるようになると同時に、法戦ごとに2名の班誓願(勧誘ノルマ)を背負うことになる。これは責任を持って必ず成し遂げなければいけない。毎月コンスタントに一人で成果を出し続けるのには限界があるから、今後は今まで以上にしっかりと入信させた班員たちの指導に励むことが大切であると、熱く語ってくれた。

 わたしは胸が踊り、なかなか寝付けない。

 班長……。総幹部会本番……。

 日蓮大聖人の仏法という真理の教えに出会い、その教えによって自らが救われるのみならず、日本および世界が救われる時代に生まれ合わせ、さらにその戦いに参加できている自らの福運を噛みしめた。会長の浅井先生は言う。国を救うお手伝いをする使命があるから、この時代に生まれて顕正会と縁をしているのだ、と。

 これに命をかけなくて、一体何にかけるのか。

 そう思うと、目頭が熱くなり、いつの間にか眠りに落ちていた。

第18話へと続く)

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当ストーリーはファウンダーであるShannonが実際に体験したノンフィクションです。そのため人名等は伏せています。記憶を頼りに書いていますので、万が一記憶違いなどがあった場合、すみやかに訂正します。Shannonは特定の宗教やカルトに現在属していませんし、信仰を勧めているわけでもありません。彼の体験をそのまま語ることが誰かの役に立てば、との思いで書いています。

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© 2017 by Shannon N. Smith.

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