top of page

カルト幹部体験記 第14話 右翼街宣車襲撃

  • 執筆者の写真: Shannon N. Smith
    Shannon N. Smith
  • 2017年10月6日
  • 読了時間: 3分

(第1話はこちら

「もうさ、常盤台公園が男子部で埋め尽くされてさ」。Kは興奮気味に語る。

――午前9時にはすでに二、三千人の男子部が常盤台公園に集結していた。右翼の街宣車は最初、駅前ロータリーにつけていたが、やがて常盤台公園の前をノロノロと通過していく。

 男子部が罵声を浴びせるなか、街宣車はそのまま常盤台公園の交差点を右折。しばらく進んだところで街宣車の発したある一言が、事態を急変させる。

「顕正会は解散せよ!」

 ゴゴゴゴゴゴーと激しい地鳴りのような足音が辺りに響き渡り、男子部が一斉に街宣車に襲いかかる。 顕正会男子部、とくに神奈川方面の連中は不良あがりが多いため、どんどんエスカレートしていく。チンピラまがいの怒号が飛び交い、街宣車はドンドン叩かれ、挙句の果てにはミラーの割れる音がする。

 街宣車はそのまま環七方面へと少しずつ移動していくが、「出てこい!」「謝れや、コラ!」「逃げんじゃねー!」等々と、どこまでも男子部は追い込んでいく。

 浅井男子部長が何度か話しをしようと持ちかけるが、なかなか応じない。

 中にいた右翼の連中は恐怖に震え上がっていた。

 やがて警察も駆けつけたが、全く男子部の興奮は収まりを見せない。

 ようやく男子部長が、男子部を鎮められるのは自分だけだから、自分一人でいいので中に入れてほしい、話し合おう、と提案する。他に選択肢はなさそうだと堪忍したのか、右翼はその提案を受け入れる。

 入る直前、男子部長は、副男子部長に、もし自分が出てこなかったら代表者何名かで街宣車に突入するよう指示した。

 男子部長の身に何かあったらタダではおかない、と叫ぶ声が、中に入っていく男子部長を見送る。

 しばし休戦状態となった。

 ほどなく男子部長は姿をあらわし、街宣車が帰れるよう道をあけるように、と指示した。彼らは二度と顕正会と関わらないという誓約書にサインをしたと。

 環七を走り去る街宣車は、ベコベコにされた上タイヤも一つパンクしていて、後部にかけられていた旗は破られた状態で結ばれ、とても無残な姿だった――。

 わたしはこの話しを聞いて、退くどころか「すげー、まじかよ! 俺もいきたかった!」と感激の声を漏らした。

 この時はまだ知らなかったが、顕正会は過去にも創価学会本部を街宣車で襲撃するなどの事件を起こしていて、現在でも度々暴力事件を起こしては逮捕者を出している。が、在籍当時のわたしからすると、こういった男子部の体質は、本気であればこそのことで、なんら問題のないことだと思っていた。

 さて、顕正会での活動を始めたこの1999年9月、わたしはKに協力してもらいながら最終的に5名の入信者を出した。

 9月の最終日曜日(あるいは10月の第一日曜日であった可能性も)にまた本部に来てほしい、とKに言われた。

 隊長から『組長辞令』を授かるとのことだった。

『組長』とは、顕正会においては一番下の位の役職だ。折伏を実践して、一名以上の入信者を出すのが拝命される条件である。

 またその前日(あるいはそのあたり)航空公園駅の近くで総幹部会のビデオ放映があるので一緒に参加しよう、との誘いも受けた。

 初めての総幹部会ビデオ放映に参加する日、わたしは意気揚々と航空公園へ向かった。

第15話へと続く)

--------------------------------------------------

当ストーリーはファウンダーであるShannonが実際に体験したノンフィクションです。そのため人名等は伏せています。記憶を頼りに書いていますので、万が一記憶違いなどがあった場合、すみやかに訂正します。Shannonは特定の宗教やカルトに現在属していませんし、信仰を勧めているわけでもありません。彼の体験をそのまま語ることが誰かの役に立てば、との思いで書いています。

Comments


© 2017 by Shannon N. Smith.

bottom of page