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カルト幹部体験記 第11話 初めての日曜勤行、そして右翼(その1)

  • 執筆者の写真: Shannon N. Smith
    Shannon N. Smith
  • 2017年9月15日
  • 読了時間: 3分

(第1話はこちら

「そっか、了解。でも長い目で見て、何とか入信してもらえるよう、勤行のときにご祈念していこう。早く間違ったキリスト教を捨てて、正しい仏法を実践して幸せになってもらいたいよね」。Nから断りの電話があったことをKに伝えると、Kはそう言った。「ちなみに今週の日曜日の午前中空いてる?」

「おお、空いてるよ」。わたしは言った。

「おお、マジ。そしたらさ、一緒に日曜勤行参加してみない?」

「うん、いいけど、なにそれ?」

「まあ、言葉のままなんだけど、日曜の午前中にみんなで集まって勤行やるんだ。その後、浅井先生の指導もあるよ」

「マジで!? 行くわ!」わたしは浅井先生の指導を聞けると聞いて、心が躍った。「何時から?」

「先生が導師を務められて、直に指導を聞けるのは朝8時からの勤行しかないけど、その後も一時間半おきに9時半と11時からもやっているよ。先生の指導は8時のやつのテープになるけど」

「早っ、ちょっとおれ起きれるかわからないから、とりあえず11時でいい?」

「うん、いいよ、全然。まずは来てみて、それで徐々に8時のに参加できるようにしていけばいいと思うよ」

「OK」と言うと、わたしは具体的な待ち合わせ場所や時間を決め、電話を切った。

 1999年9月某日(日曜日)、午前10半ごろ、ときわ台駅前。

 初めての日曜勤行に参加するため、ときわ台駅の改札前でKを待つ。

どこからともなく渋い演歌っぽい音楽が聞こえてきた。すると、「日蓮大聖人に帰依しなければ日本は必ず亡ぶ!!」と明らかに拡声器を通した厳つい叫び声が鼓膜を揺らす。

 なんだろうと思って声の方に視線を向けると、右翼のでっかい街宣車が数台、ゆっくりと駅前を通過していく姿が見えた。

しばらく街宣車に見とれていると、Kが姿をあらわした。

「おお、シャノン! こっちだよ!」Kは手招きをしてわたしを呼ぶ。

 Kの元にたどり着くと言った。「ねえ、あれ右翼だよね。顕正会のバックには右翼がついてるの?」

「いや、俺らは右翼とは関係ない。あれは学会が送り込んでるんだと思う。きょうの朝からあの調子なんだ。たぶん、ああやって右翼がバックについている怪しい団体っていう印象を世間に持たせたいんだと思う」

「んっと、学会って、創価学会のこと?」

「うん、そう。まあ、とりあえずいまは放っておいて、日曜勤行いこうか」。Kはそう言うと、わたしをときわ台駅から徒歩3分ほどの場所にある、本部会館へと案内してくれた。

 常盤台中央図書館の前を通り、常盤台公園の中の人混みを抜けて階段を下りると、右側に大きな建物が姿を現した。茶色がかった黄色いレンガで覆われていて、4~5階建て分くらいの高さはある。上部に大きく「冨士大石寺顕正会」と書かれていた。敷地内へと上る階段の横にも「冨士大石寺顕正会本部会館」と書かれている小さな表札が掛かっている。

 階段を上ると、右奥にある一本の大きな木が目に入る。その手前には大きめのオープンスペースがあり、敷地を区切っている壁際は植込みで緑一色だった。

 そこでも、またもや人混みに遭遇した。

「あれ、もしかして公園の人たちってみんな顕正会員?」わたしはKに聞いた。

「うん、そうだよ。この時間帯でこの辺にいるのは、ほぼ全員が顕正会員と思ってくれて間違いないよ」

 公園も含めるとゆうに1000人以上はいるだろう。老若男女、ありとあらゆるタイプの人がいた。

 左奥の建物入り口へとKは案内する。

第12話へと続く)

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当ストーリーはファウンダーであるShannonが実際に体験したノンフィクションです。そのため人名等は伏せています。記憶を頼りに書いていますので、万が一記憶違いなどがあった場合、すみやかに訂正します。Shannonは特定の宗教やカルトに現在属していませんし、信仰を勧めているわけでもありません。彼の体験をそのまま語ることが誰かの役に立てば、との思いで書いています。

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© 2017 by Shannon N. Smith.

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